『曼荼羅という宇宙』
素晴らしさに、一日中恍惚している。
私の中の宇宙を見つけたの。
曼荼羅という宇宙が、確かに私の中に広がっていた。
私が扉を開いたのではない。だって、それはあまりにも広かったから。
あまりにも深遠で、あまりにも完璧で、私の理解などとっくのとっくに超えているから。
創造者が扉を開いて下さった。私という魂が、大宇宙に組み込まれていた。
私は私だけのものじゃない。こんなに心強く喜びに溢れるなんて。
限度などない。次から次に与えて下さる。私の想像など遥かに超えて、創造者と繋がると
いうことを噛み締めている。神への道のり、光の道のりを、歩ませて頂いているのだと。
『曼荼羅という宇宙、そなたの中に花開いている。
魂一点に八方へ、八方はまた八方へ。
無限の大宇宙、花開いている。
時が来た。扉を開いた。おのれの中の宇宙と共に呼吸せよ。
私と魂の柱、強く太くなるほど力発揮す。
全てに喜びを埋め込んである。喜びそのものなのである。
謳歌せよ。表現せよ。
舞台は全世界大宇宙、今ここに釘させ。どしどしいくぞ心せよ。』
曼荼羅を観るたびに、うっとりとしていた。
博物館の歴史展示物など、絵の意味はよくわからなかったけれど、神聖さと深遠さに心が惹かれ止まなかった。
私は私の中に、複数の特徴があることを自覚していた。
性格というのか、個性というのか、人格というのか。
病気と言われている多重人格というのではない。
なぜならそれは、ひとつの人格が出たときに自分自身の記憶がないから。
そうではなくて、色々な性質を自分自身が統合しているという感じだった。
人と話をしている時、していることや話している内容によって表情や話し方が違うことで、別人のようだと驚かれることもあった。
確かにびっくりするかもね、ごめんね。
けれど私の中には、赤ちゃんから老婆まで女性や男性もいろんな視点があるからなの。なんて言っていた。
ふと思って、紙を取り出して描いてみた。
自分の中にある思いつく特徴を思うままに書いてみた。
そうしたら、なんとぴったり八つに分けることができたのだった。
そしてその八つはそれぞれが、またさらに八つに囲まれているようだと感じたのだ。
集中して育ててきたような部分もあれば、自覚はしているけれど未熟で可能性を秘めている部分もある。
中心は私という魂。その周りをそれぞれの特徴が取り囲んで、そして私という存在を創っているみたいだと思った。
「未知数」α◯◯◯◯◯S◯◯◯◯◯ という魂の名前があるのなら、八つの特徴にも名前があるはずだと、思いつくままにつけてみようと思った。
中心から右側の丸は、俺の部分。
爆発するような暴言や本音を熱く言う。たったひとりでもしっかりと立って、率先して引っ張っていこうとする強いリーダーシップ。
妥協は許さず、新しい世界を創っていくために、妨げるものはぶち壊していこうというガッツがある。
恐れるものなどないと、とにかく勇気に溢れている人格。
魂は「タイガー」と言った。
睨みをきかせて、大きい口を開け吠えた声を響き渡らせる。ぴったりだと思った。
右斜め上は、私にとって官能の女神の部分。
セクシュアルなことに関して、飽くなき探究心と向上心。どこまでも深掘って、どこまでも広がりゆく。肉体的精神的、女性性男性性、喜びが宇宙へと繋がっていく。
魂は「ヌード」と言った。
そう、それは心も体も裸になる人格。
真上は、色彩感覚やデザインの部分。
はっとして心奪われるような、心踊るような心甦るような、喜び溢れるような色合いを表現したいと願う。ビーズジュエリーを創ったり刺繍をしたりファッションデザインをしたり、創作意欲があるアーティスティックな人格。
魂は「フラワー」と言った。
地上に咲く美しき花々、それは神の芸術の結晶そのもの。
左斜め上は、音楽の部分。
数々のダンスをしてきた。メロディやリズムに揺れ動く。激しいものや優雅なものも自在に楽しむ。気分のまま歌うのも好き。
日本舞踊やハープなど、色々と興味のままにしてきた音楽関係は全て趣味止まりだけれど。作曲もしたいと思ってみたりする。
魂は「ミューズ」と言った。
ミュージックの語源のミューズ、なんて素敵なのかしら。
左側は、声の部分。小さい頃から、よく声について言われていた。自分も声を使うことなら何でも好きだった。
放送、司会、朗読などの表現、人との会話、自分の意志を伝えること、演説など。
魂は「エア」と言った。
そう、声は空気を伝わっていく。声という概念を押し広げてくれるようだと感じた。
左斜め下の部分、それは経営、政治、経済、金融、教育といった社会システムや社会の仕組みや関わり。
経営者、政治家、教育者、お金について。それぞれの分野が自分自身の関心事でもあれば、社会の構造でもある。
魂は「ガイア」と言った。
星や大地という意味が、ガチガチしているような基盤である社会的部分と重なる。
意外だったけれど、とても納得した。
真下の部分、それは私にとってはエキサイティングな発明家。
違ったものと違ったものを組み合わせる。今までになかったものを創り出す。
なかったから創ってみたということがよくある。欲しいものが商品としてないことに不満に思うこともよくある。斬新で新たな発見をする躍動感。
魂は「エンジン」と言った。そう、そこからエネルギーが生み出されるよう。
異物や異世界がぶつかり合って化学反応が起き、新しい世界が生まれ続けていく。
右斜め下は、私を宇宙の神秘へと誘う部分。
星占術や名前や数の運命、手相や体に印されている記憶、相性や人の縁という不思議。過去未来現在、天界霊界現界、自然界や宇宙の法則。紐解き知りたいと願う心は、私を真実へと導いてくれてきた。
魂は「ユニバース」と言った。まさにそのとおりだ。
全て思いつくまま書き終わって私は驚いた。固有名詞のような名前が出てくると思った
けれど違ったから。
タイガー、ヌード、フラワー、ミューズ、エア、ガイア、エンジン、ユニバース。
それらは、まさに私の中の宇宙だった。
私はその後、深い眠りについた。
夢の中で白い八つの球体は、私を中心にくるくると回っていた。絵で見る曼荼羅は静止しているけれど、実際は動いているのだ。
目が覚めても、自分の中にはっきりと宇宙があるのだという感動と興奮はおさまっていなかった。
自分の中の曼荼羅を感じてみた。今までふわふわと漂ってくっきりしなかったものが、それぞれの個性として凝縮されパワーを持ったようだった。
命を宿してパワーが生まれ、創造者と繋がった私の魂を中心に回転し躍動しはじめている。
素晴らしき八つの生命個性たち。
最大限の力を発揮できるように、昇り続け純粋になっていきたいと願う。
新たに生まれた私の希望だ。
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