1.『魂の生還』
そう 魂は言う。魂の生還をしたいと。
そう 魂は叫んでいる。己の魂を取り戻したいと。
これでもか、これでもかと挑戦してきた。
己の到達点を探して、生まれ変わり続けてきた。
この分厚く覆われた黒い雲が、真実の姿を覆い隠す。
真実の姿を忘れ、忘却の彼方へと己を追いやってきた。
長い長い歴史の中で、諦め朽ち果てたように思える。
その隙間から今、光が射し込みはじめている。
うっすらと、けれど確かにそれはある。
光を手で掴む。
霊の手が光を手に巻きつけ、それを放さない。
幻想だと思っているのは、肉の目だけなのだ。
肉の目がいつでも勝ってきた。
肉の手がいつでも強かった。
心砕かれながら、儚い夢と自分に言いきかせながら、この肉体で生きてきた。
もうそれは終わりにしよう。
魂の声が告げている。
扉が開かれ始めたのだ。
世界は変わる。次元が変わる。
肉の勝敗は、霊が優位と生まれ変わる。
魂が報われる。そんな時代に生きた君。
生きた証が刻まれる。魂の核に刻まれる。
どんな時代に生きたか。
どんな時間に生きたか。
どれほど生きたか等、意味がなさない時代に生きる。
在り方がすべてを変える時代。
在り方を選べる時代に、既に時代はシフトしているのだ。
それこそが変容。
心の変容。
在り方の変容だ。
ないものを欲しがる必要はない。
ないものを羨ましがる必要も、
ないものを奪う必要もない。
既に持っていると気づくこと、
既にそこにあったと気づく時代。
あることをあると知っている時代への変容だ。
なかったと思わされていたことに気づく。
ない ない ない ない
あれもない これもない
ここにはない あそこにはない
ないから奪え
ないから作れ
あれが欲しいだろ
これが欲しいだろ
あれもあるぞ これもあるぞ
次はこれだ その次はこれだ
そんなことに目を向けさせて
実は空っぽ 何もかも空っぽ
そんな空虚さから、さよならする時代。
誰かが膨れ上がるほど富み
誰かが餓死するほど貧弱になる
そんな世界から、さよならする時代。
それらも必要であった。
あることとないことを知ったのだ。
あることとないことを一つにする時代。
魂は還りたがっている。
旅にも時期がある。
出発する時と帰る時。
まもなく帰る時間だ。
思う存分楽しんだら、帰る時間がやってくる。
もっと楽しいことのために帰るのだ。
己を満足させ、その己と一体となる時のために。
帰る支度をしようではないか。
本来の自分に戻る時だ。
自分にないという旅を課していた時代から、
全てはあるという家へ帰る時間だ。
長い長い旅であったかもしれない。
人によっては短い旅であったかもしれない。
一瞬で終わる長い旅。
そう 言葉を超えた世界に帰ろう。
これはあなたへの招待状だ。
魂の家へ帰らないか。
まだあなたの世界にいたいのであればご自由に。
私は先に向かう。
私も招待状を渡された一人だ。
招待状を渡された者は、その招待状をいくらでも誰かに渡すことが出来る。
さぁ 私はあなたに届けた。
あなたもいくらでも渡すがいい。
行くか行かないかは、渡された側の全責任だから。
選択の自由。それが、私達人類に与えられた自由とも言えるのだ。
私は何も迷わなかった。
私はそれを、生まれた時から探してきたとも言えるから。
心の指針と磁石が、そちらの方へそちらの方へと導いてきたとも言えるから。
ただ、この物語を手に取ったあなたは、そちらの方の世界に導かれているとしか私は言えない。
これは磁石。
この切符とも言える招待状は、必要な人のところへ届けられるように仕組まれているのだ。
全てがある世界へようこそ。
祝福され、想像を遥かに超えた世界へ。
あなたの世界が変わった時
同時に世界も輝き出す。
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